前田敦子が濡れ場や暴力描写、あるいは精神的に過酷な境遇にある役柄を厭わない背景には何があるのでしょうか。その根底にあるのは、「元アイドルという肩書に対する甘えの完全な排除」と「映画愛」です。
黒沢清監督の『Seventh Code』や『旅のおわり世界のはじまり』、山下敦弘監督の『もらとりあむタマ子』、石井裕也監督の『町田くんの世界』など、名だたる気鋭の映画作家とタッグを組んできた彼女は、常に「作品にとってそのシーンが必然であるかどうか」を基準に作品を選んでいます。
自分を綺麗に見せることやイメージの保持よりも、監督が描きたい世界観の一部になることを最優先する――その潔い覚悟があるからこそ、肌を晒すシーンであっても卑俗にならず、見る者の心を揺さぶるエモーショナルな名場面へと昇華されるのです。