なかざわけんじの音楽的キャリアは、地元・長野県での学生時代に遡る。高校卒業後、信州大学のフォークソングサークルなどで活動していた彼は、赤塩正樹(あきまつとむ)と出会い、1976年にH2Oを結成した。
当時の日本の音楽シーンは、フォークソングからニューミュージックへの過渡期にあった。アコースティックギターの柔らかな響きと、2人が織りなす美しいハーモニーは、地元のライブハウスやコンテストで高い評価を獲得。1985年の解散に至るまで、彼らのサウンドの核にあったのは、長野の大自然の中で育まれた素朴でまっすぐな音楽情熱だった。
アコースティックとポップスの融合を模索した初期作品
1980年、映画『翔んだカップル』の挿入歌『ローレライ』でメジャーデビューを果たしたH2O。初期の彼らは、洗練されたシティポップ風のサウンドとフォークの抒情性を融合させた先進的な楽曲を次々と発表していた。なかざわけんじの作るメロディラインは、キャッチーでありながら繊細な情感をたたえており、コアな音楽ファンを魅了した。