客殿に通されると、参拝者の前にはお茶と「寿々むし」と銘打たれた茶菓子が運ばれる。張り詰めた緊張を解きほぐすように始まるのが、名物となっている住職らの仏教説法だ。難解な教義を並べ立てる講義ではない。日常のささやかな出来事や人間の弱さを巧みな話術で切り取り、堂内にはしばしば大きな笑いが沸き起こる。
「洗心(心を洗う)」「素心(飾らない素直な心)」といった禅の思想が、ユーモアを交えた言葉で心に染み渡っていく。願い事を地蔵に託す前に、自らの内面を見つめ直し、余計な執着を手放す。この説法を聴く時間こそが、参拝者の精神を整える不可欠な儀式となっている。