宇佐神宮を参拝するにあたり、知らずに犯してしまいがちな「作法上の過ち」が存在します。神道においてタブーとされる行為を避けることは、余計な不安を払拭し、清らかな気持ちで神徳を授かるための大前提です。
最も注意すべきは「上宮(本殿)だけを参拝して帰ること」です。宇佐神宮には山上に位置する「上宮」と、山麓に位置する「下宮(御炊宮・みけみや)」が存在します。地元には古くから「下宮参らにゃ片参り」という言葉が伝わっており、国家の祭祀を司る上宮と、人々の日常の営みや食を司る下宮の両方を順に参拝して初めて満願となるとされています。片方のみで切り上げる行為は、古来の礼儀を欠く片手落ちの参拝とみなされます。
もう一つの決定的な特徴が、一般的な神社で行われる「二礼二拍手一礼」ではなく、「二礼四拍手一礼」が正式作法と定められている点です。この作法を共有するのは、全国でも出雲大社や新潟の弥彦神社などごく限られた古社のみです。
なぜ四度手を打つのかという理由については諸説あります。四季(春夏秋冬)や四方位(東西南北)の神々への敬意、あるいは「四=しあわせ(四合せ)」を祈念するものとする解釈のほか、主祭神の一柱である比売大神(ひめおおかみ)が古代の高貴な神道神であり、通常の作法を超えた最高位の敬意を捧げる古式祭祀の名残であるという説が有力視されています。作法を知らずに周囲と異なる動きをしてしまい、当惑した参拝者が「何か不敬を働いたのではないか」と恐れを抱くケースも少なくありません。