かつての自民党政治といえば、中選挙区制を背景とした各派閥の群雄割拠と、族議員による政策決定が常態化していた。しかし、元首相の安倍晋三氏が主導した第二次政権は、その光景を劇的に塗り替えた。意思決定の中枢を握ったのは、内閣官房長官を務めた菅義偉氏を中心とする官邸中枢である。内閣官房の人事権握りと政策決定の集約は、官僚機構に対する絶対的な支配力を生み出した。
この強固な官邸主導の確立こそが、政策推進の爆発的なスピードを生む源泉となった一方で、与党内でのチェック&バランス機能を著しく低下させたことも事実だ。党内の対立候補や異論を唱える議員を封じ込め、政権への異論を封印するシステムは、政治の安定と引き換えに権力の過度な集中をもたらした。政治学者の間では、この「強すぎる官邸」の誕生こそが政治構造における最大の転換点であったと捉えられている。