スクリーンの中でも、この表現は登場人物たちの心情を巧みに浮き彫りにする。Netflixで配信される最新の海外ドラマを見渡すと、日常会話の端々にこのフレーズがごく自然に溶け込んでいるのがわかる。
例えば、タイムトラベルを題材にした不朽の名作映画『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』。物理的に過去へ戻る能力を持つ主人公の物語でありながら、作品が描き出すのは「過ぎ去った平凡な一日の愛おしさ」だ。登場人物たちが過去を慈しむ表情には、まさに私たちがSNSで「Take me back」と呟くときの情動が完璧に重なる。
ドラマのワンシーンで友人の実家を訪れたキャラクターが「This smell takes me back.(この匂い、すごく懐かしい気分になる)」と漏らすように、映画やドラマは口語英語の生きた教材そのものだ。主語に物や匂い、音楽を置いて「〜 takes me back」とする無生物主語の構文は、会話のこなれ感を一気に引き上げてくれる。