かつて国民的アイドルグループの「不動のセンター」として重圧を背負い続けた前田敦子。卒業を発表した際、多くの人々は彼女がどのような道を歩むのか固唾をのんで見守っていた。王道のタレント路線を選ぶこともできたはずだ。しかし、彼女が選んだのは徹底して泥臭く、生々しい人間ドラマの深淵に飛び込む道だった。
アイドル時代の虚像を自らの手で剥ぎ取る作業は容易ではない。世間の偏見や厳しい視線に晒されながらも、彼女は一切の妥協を排して作品選びを行った。あえて生々しい感情や肉体の触れ合いを伴う役に挑み、脆さと強さが同居する唯一無二の佇まいを獲得していったのである。