「なぜ、何の前触れもなくアスファルトが抜け落ちたのか」という最大の疑問に対し、土木工学の専門家および行政の合同調査団が指摘したのは、地下埋設管の経年劣化に伴う空洞化現象です。
現場の地下数十メートルには、高度経済成長期から昭和後期にかけて敷設された下水道本管が埋設されていました。事故調査委員会の初期分析によると、以下の3段階のプロセスを経て大規模崩落に至ったと推定されています。
- 硫化水素による管渠の腐食:下水内部で発生した高濃度の硫化水素がコンクリート管を長年かけて浸食し、管頂部に微細な亀裂や破損が発生。
- 地下土砂の吸い出し現象:雨水や地下水の上昇に伴い、管の破損箇所から周囲の土砂が下水管内へと継続的に流出。地中に肉眼では見えない空洞(ルーズゾーン)が長期間かけて拡大。
- アスファルトのアーチアクション限界:表層のアスファルト舗装だけが辛うじて板状に残っていたものの、大型車両の重量負荷に耐えきれなくなり、限界点を超えた瞬間に一気に破断・陥没。
アスファルト舗装は柔軟性と引張強度があるため、地下に空洞ができても表面上は何事もないように見え続けます。この「見えない空洞」が、車両の輪重という決定的なトリガーによって突如牙を剥いたことが、今回の悲劇の直接的な発生理由です。