長年、十一番隊の癒やしでありマスコット的存在だった草鹿やちるの正体は、更木剣八の斬魄刀「野晒(のざらし)」の具現化体です。より厳密には、剣八が長年無意識のうちに封印し続けていた「自身の斬魄刀の力」そのものが外在化した姿でした。
作中初期から、更木剣八は自身の斬魄刀の名前を知らず、対話すら拒否していると語られていました。しかし実際には、魂の奥底で斬魄刀との繋がりが途切れていたわけではありません。剣八があまりに強大すぎる霊圧を無意識に自ら抑え込んでいたのと同様に、斬魄刀の霊子もまた、彼が最も心を許せる「小さな少女」の形をとって現実に寄り添い続けていたのです。
この事実を決定づけたのが、千年血戦篇におけるグレミィ・トゥミュー戦後の描写です。剣八が自身の斬魄刀の名「野晒」を呼び始解を解放した直後、やちるは衣服と副隊長章だけを残して忽然と姿を消しました。刀の本来の力が本体である剣八へと戻った証拠であり、長きにわたる伏線が見事に結実した瞬間でした。