一部の極端な環境至上主義的な言説では、「いまさら大排気量の直6やディーゼルを新規開発するのは時代遅れのガラパゴス技術だ」と揶揄されることがあります。しかし、この主張にはエネルギー効率とサプライチェーンに対する重大な盲点が存在します。
第1の誤解は、「直6は重くて非効率」という思い込みです。直列6気筒は理論上、完全な回転バランスを誇るため、V型6気筒に不可欠なバランスシャフトが不要となり、エンジン単体のフリクションロス(摩擦損失)を大幅に低減できます。さらにマツダの直6は、直列4気筒エンジンと気筒あたりのボア・ストロークを共通化する「コモンアーキテクチャー」によってモジュラー設計されており、生産ラインの共通化による製造コスト削減と高精度化を両立しています。
第2の誤解は、ディーゼルエンジンの環境適合性です。マツダのクリーンディーゼル技術は、欧州の極めて厳しい排出ガス規制(ユーロ6eや将来の規制案)をAdBlue(尿素SCRシステム)とDPF(微粒子捕集フィルター)の高精度制御によってクリアしています。製造時から走行、廃棄に至る「ライフサイクルアセスメント(LCA)」で評価した場合、石炭火力の割合が高い電力で走行する大型BEVと比較しても、実質的な二酸化炭素排出量において互角以上の数値を叩き出す場面は珍しくありません。
世界的なEV普及のペースが踊り場を迎え、ハイブリッドや高効率内燃機関の価値が再評価されている現在、マツダの直6ディーゼル+マイルドハイブリッドは、極めて現実的でサステナブルな長距離移動手段として国際的にも再評価が進んでいます。