SNSやインターネット上の掲示板では、不安型愛着障害に対して「単なる重い女(男)」「メンヘラの言い訳」「自己愛が強いだけ」といった心ないラベリングが散見されます。しかし、愛着障害の臨床心理学による詳細まとめを精査すると、これらのネット俗説は明らかな誤解であることが分かります。
まず押さえるべきは、不安型の反応は本人の性格の悪さではなく、神経系の生理的な防衛反応であるという事実です。ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)の観点からも、安全基地を持てずに育った人は、対人関係のわずかな脅威に対して交感神経系(闘争・逃走反応)が即座に過剰活性化してしまうことが実証されています。本人が「冷静でいよう」と頭で念じても、身体が生存の危機を感知して警報を鳴らしてしまうのです。
そして最大の誤解は、「一度形成された愛着スタイルは一生変えられない」という決定論です。近年の縦断的研究では、適切な環境や心理的アプローチによって、成人後でも安定した愛着を獲得できる「獲得された安定型(Earned-Secure)」への変容が可能であることが証明されています。過去のトラウマや養育環境は変えられませんが、それに対する現在の認知や行動パターンを書き換えることは十分に可能なのです。