犬が自ら被毛を引き抜く行動に対して、多くの飼い主はまず「ストレス」を連想します。しかし、臨床現場の獣医師が口を揃える通り、犬 自分で毛をむしる 原因の約7割から8割は、まず身体的な強い痒みや違和感、あるいは局所の疼痛に起因しています。犬にとって歯で毛をむしる、あるいは舌で激しく舐め続ける動作は、自分では手の届かない深部の痒みや不快感を物理的に紛らわせるための必死の防衛行動にほかなりません。
残りの2割から3割を占めるのが、生活環境や飼育状況に根ざす精神的要因です。長時間の留守番、運動不足、同居家族の変化、過去のトラウマなどによって引き起こされる強い葛藤や不安が、自分自身を攻撃する犬 自傷行為 理由へと転化します。痛みを感じることで分泌される脳内物質(エンドルフィン)が一時的な精神安定をもたらすため、行動そのものが常習化・嗜癖化してしまう危険なスパイラルが形成されます。
つまり、毛をむしる行為は「身体の悲鳴」か「心の悲鳴」、あるいはその双方が複雑に絡み合った結果です。「そのうち治まるだろう」という安易な楽観視は禁物です。毛が抜けて地肌が露出している、あるいは皮膚がただれている状態は、愛犬のストレス耐性や免疫機能が限界を超えている決定的な証拠といえます。