インターネット上のコミュニケーションノウハウでは、「承認欲求が強い人は褒めておけば扱いやすい」というアドバイスが散見されます。しかし、臨床心理の現場や組織マネジメントの実務において、これは極めて危険な誤解です。
承認依存に陥っている人物を安易におだてたり褒めそやしたりすると、相手は「この人は自分の承認欲求を無条件で満たしてくれる供給源(サプライヤー)」と認識します。その結果、さらに過剰なアピールやマウンティングを持ち込むようになり、要求はエスカレートします。一時的に機嫌が良くなったとしても、刺激に対する耐性がつくため、より強い賞賛を求めて執着を強める結果に終わります。
効果的なアプローチは、感情を乗せた「賞賛」ではなく、客観的な事実のみを淡々と確認する「アクノレッジメント(事実承認)」です。「すごいですね」とおだてるのではなく、「〇〇の資料が期日通りに提出されましたね」と事実だけを伝えることで、相手の承認ゲームの土俵に乗らずに済みます。