歯科治療における動悸トラブルを防ぐ最大のポイントは、治療が始まる前の問診段階における「情報伝達の質」にかかっています。医療従事者側が患者の過去のトラブルを把握していなければ、ルーティンとしてキシロカインが選択されてしまうのが現状だからです。
予約時や問診票を記入する際、単に「麻酔が苦手」と書くだけでは不十分です。次のように、具体的かつ解像度の高い表現で伝えることが自衛につながります。
「以前、麻酔を打った直後に心臓が激しくバクバクして手が震えたことがあります。アドレナリンの入っていない麻酔薬や、シタネストオクタプレシン等での対応は可能でしょうか?」
このように伝えて嫌な顔をする歯科医師は現代の医療現場にはまず存在しません。むしろ、偶発症のリスクを事前に回避できるため、現場の医療者にとっても極めて有益な情報として歓迎されます。治療を受ける歯科医院を選ぶ際は、以下の判断基準を参考にしてください。
【選ぶべき歯科医院の条件】
・初診時のカウンセリングに十分な時間を確保し、恐怖心や既往歴を丁寧に聞き取ってくれる。
・複数の麻酔薬(キシロカイン、シタネスト、スキャンドネスト等)を常備し、使い分けを明確に説明できる。
・笑気吸入鎮静器や生体情報モニター(血圧・心電図・SpO2監視)を導入している。
・表面麻酔や電動浸潤麻酔器を標準装備している。
【避けるべき・慎重になるべき歯科医院の条件】
・「麻酔でドキドキするのは誰でも当たり前だから我慢してください」と精神論で片付ける。
・問診票の確認が形式的で、すぐに治療台を倒して説明なしに注射を打とうとする。
・患者が左手を挙げても「もう少しだから動かないで」と治療を強行する。
自分の身体の反応を正確に理解し、それを正しく医療機関へ提示することこそが、不安のない快適な治療環境を勝ち取る最も確実な道です。