醜形恐怖症の苦しみのなかで、多くの人が最初に選択してしまう手段が美容整形です。「気になっている目元や鼻さえ治れば、この地獄のような苦しみから解放されるはずだ」と信じ込み、なけなしの貯金を叩いて手術台へ向かいます。しかし、医学的な臨床研究や美容医療業界の追跡調査において、美容整形を繰り返す心理と真相は極めて残酷な現実を突きつけています。
日本精神神経学会の報告や国際的な臨床データによると、身体醜形障害の患者が美容外科手術を受けて「根本的に症状が治癒した」と感じる割合はわずか数パーセントに過ぎません。術直後は一時的な高揚感や安心感を得られたとしても、数日から数週間が経過すると、高確率で以下のような事態に陥ります。
第一に「仕上がりに対する激しい不満と被害念慮」です。「ミリ単位で曲がっている」「医師に失敗された、顔を破壊された」と手術の粗を探し出し、執刀医へのクレームや再手術の要求、医療過誤訴訟へと発展するケースが後を絶ちません。第二に「執着の転移」です。鼻の手術が仮に成功したとしても、今度は「顎の輪郭がおかしい」「目元の左右差が耐えられない」と、別の部位へと欠損の認識が瞬時に移し替えられます。
なぜメスを入れても治らないのか。その本質は、「外見そのものが変形しているのではなく、脳内の身体イメージ(ボディ・イメージ)を処理するソフトウェアがバグを起こしているから」に他なりません。どれほどハードウェア(肉体)を修正したところで、それを読み取る認知の歪みが修正されない限り、鏡に映る自分は永遠に「壊れた不完全な存在」に見え続けます。この本質を見誤ると、借金を重ねて何十回もの手術を繰り返す「整形依存の泥沼」から抜け出せなくなります。