ファーストアルバムの空前のヒットと全国ツアーの成功の陰で、ふたりの間には徐々に不穏な亀裂が走り始めていた。衝突の主な原因は、ステージ上の主導権や音楽的ディレクションにおけるミリ単位の譲れないこだわりだ。ダンスミュージックとの融合をさらに推し進めようとする布袋に対し、より骨太でダイレクトなロックンロールを求めた吉川。
完璧主義者同士であるがゆえの妥協なき議論は、やがて冷ややかな沈黙へと変わっていく。セカンドアルバム『ROMANTIC 1990』の制作時には、すでにスタジオで直接言葉を交わすことすら稀になっていたという。1990年11月、東京ドームでの活動休止ライブをもってCOMPLEXはその短くも苛烈な歴史に一度幕を下ろした。