建設から年月が経過した大型ビルが必ず突き当たる壁、それが老朽化と耐震性の問題である。アポロビルも例外ではない。昭和のレトロな建築意匠を残す外観は、建築ファンやサブカルチャーを愛する層からは「消し去るにはあまりにも惜しい都市の遺産」として高く評価されている。
一方で、現代の厳格な防災基準や省エネ性能を満たすための改修コストは膨大だ。オーナー側や権利者の間では、歴史的意匠をリノベーションして残す道を探る動きと、完全に取り壊して新たなランドマークタワーを建設すべきだという現実的な意見が拮抗している。単なる建物の問題にとどまらず、街のアイデンティティをどう定義するかという議論に直結しているのだ。