ボトルの裏側に描かれた繊細なイラストが物語るように、この香水の背景にはギリシャ神話における愛の物語「プシケーとエロス」のロマンスが存在する。神話の中で描かれる官能的でありながら清らかな愛の境地を、香りの液体として現代に昇華させたのがこのオードパルファンだ。物理的な距離を超えて重なり合う二人の魂を、肌と肌が触れ合う瞬間の温もりとして表現した仕掛けは、実に独創的である。
調香の段階から一貫して追求されたのは、決して押しつけがましくない重厚感だ。肌の上にひと吹きした瞬間に広がるフレッシュなトップノートから、時間が経過するにつれて包み込むような温かみへと変化する構造は、まさに愛の深まりを「可嗅化」した芸術作品と言える。香りを単なるコスメではなく、文学やアートと同等の表現媒体へと引き上げた名作だ。