ドラマの象徴である「ドクターX」という呼称。第1シリーズの劇中において、この言葉は「本名・経歴不明、世界各地の紛争地域や闇医療を渡り歩いてきた凄腕の外科医」を指すブラックリスト上のコードネームとして登場しました。巨大組織である帝都医科大学付属病院の幹部たちが、未知子の神業とも言えるオペ技術と不敵な態度を目の当たりにし、「あいつこそが噂のドクターXではないか」と恐れおののく描写がすべての始まりです。
言葉の由来を文脈から読み解くと、数学における「X(未知数)」と、軍事・諜報用語で用いられる「特定不能の脅威」が掛け合わされています。組織に縛られず、既存の医療制度の外側から突然現れて常識を破壊する存在。脚本を手掛けた中園ミホ氏ら制作陣は、既得権益にすがる大学病院の権威主義を脅かす「未知なる異分子」の象徴としてこのタイトルを設計しました。
さらに視聴者を驚かせたのは、物語が進むにつれて明かされた「X」の多面性です。単に大門未知子個人を表すだけでなく、腐敗した医療界に反旗を翻す「概念」そのものがドクターXであったという仕掛けは、シリーズ全体の通底音となっています。