物語の幕開けとなった「シガンシナ区陥落」。あの瞬間に立ち会った視聴者の脳裏に焼き付いたのは、巨大な存在に無力な人間が機械的に踏みにじられ、喰われていくという原初的な恐怖だ。特に主人公エレンの母親が巨人の手によって捕らえられ、背骨を折られる音とともに口の中へと消えていくシーンは、今なおアニメ史に残るトラウマ場面として語り継がれている。
一般的なヒーローものであれば、土壇場で奇跡が起きるか、主要キャラの死は美しく描かれるのがお約束だ。しかし『進撃の巨人』にはその甘えが一切存在しない。悲鳴は容赦なく途切れ、肉が裂ける生々しい音が響く。この「世界の理不尽さ」を視覚的に叩きつける容赦のなさが、第一話にして視聴者の心をへし折り、同時に物語へ引きずり込む最大のフックとなった。