チェーン店の甘味開発がここまで先鋭化した契機を語る上で、メディアの影響力は外せない。とりわけTBSテレビ系列の人気番組『ジョブチューン アノ職業のヒミツぶっちゃけます』で繰り広げられる、一流料理人による忖度なしの合否判定は、企業開発陣のプライドを大きく揺さぶり続けてきた。
日本を代表するパティシエである鎧塚俊彦をはじめとする審査員たちからの鋭い指摘は、時に開発者を涙させ、時に全国のお茶の間に衝撃を与えてきた。放送直後からTVerで見逃し配信をチェックした視聴者がSNSで議論を交わし、翌朝には合格札を勝ち取った看板メニューを求めて行列ができる。この凄まじいサイクルが、企業の「妥協したスイーツ作り」を完全に過去のものへと葬り去ったのだ。
香料でごまかさない本物のバニラビーンズの選定、洋菓子の命である生地の焼き加減、テイクアウトでもへたらないクリームの乳脂肪分設計など、かつては高級ホテルや個人店でしか見られなかったこだわりが、今や大手流通の製造ラインで緻密に再現されている。