東横インの沖縄県内における展開状況を確認すると、出店エリアには極めて明確なドミナント戦略が見受けられます。
現在営業中の沖縄県内の店舗は、那覇市内のゆいレール沿線(那覇旭橋駅前、那覇おもろまち駅前、那覇国際通り美栄橋駅前など)および本島中部の北谷町などに集中しています。いずれもビジネス需要と那覇空港からのアクセス動線が強固に確立された本島エリアです。
なぜ石垣島をはじめとする先島諸島への進出が進まないのか。宿泊業界の構造的課題を紐解くと、離島特有の3つの高いハードルが浮き彫りになります。
第一の障壁は、建築・修繕コストの高騰です。離島への資材海上輸送費や現地の人件費は本土に比べて割高であり、東横インが得意とする「標準化された工法で低コストかつスピーディにビルを建設する」というモデルが成立しにくい環境にあります。
第二の障壁は、深刻な人手不足と住居確保問題です。観光需要の急回復に伴い、石垣島ではホテル従業員や清掃スタッフの確保が極めて難しく、寮の整備や高水準の賃金設定が不可欠となっています。
第三の障壁は、季節変動(シーズンボラティリティ)のリスクです。台風シーズン(7月〜10月)の航空便欠航リスクや冬場の閑散期がある離島市場は、年間を通じて均一な高稼働率を前提とする都市型ビジネスモデルにとって収益予測を難しくさせる要因となっています。