そもそも「負の性欲」とは、いったい何を指す言葉なのだろうか。単なる性的な嗜好の異常や性的衝動の過剰さを意味するわけではない。それは、自己嫌悪、無力感、あるいは過去のトラウマといったネガティブな感情が、性的な執着や支配・被支配の欲求へと置換される精神的なメカニズムを指す。幸福な恋愛関係を目指すのではなく、むしろ自らの傷口を広げるような関係に固執してしまう現象だ。
過剰なSNS接続によって絶え間ない比較と評価にさらされる現代人は、日常的に強い孤独と無価値感に苛まれている。その結果、他者を愛することによって満たされる関係ではなく、他者を支配する、あるいは自分自身を痛めつけるような「負の感情を媒介とした結びつき」に安らぎを求めてしまう。一見すれば破滅的とも言えるこの行動の真相には、自らの存在理由を確認したいという切実で悲痛な葛藤が存在しているのだ。