『鬼滅の刃』に登場する鬼の多くは、激しい怒り、劣等感、悲愴な過去に突き動かされています。しかし、童磨には生まれつき喜怒哀楽の感情が完全に欠落していました。後天的なショックやトラウマによって心を閉ざしたのではなく、先天的に他者への共感性や情緒的な反応を司る機能が存在していません。
童磨は人間社会に適応し、教祖としての役割を円滑に果たすため、「感情の模倣」を身につけました。親身に話を聞いて涙を流すふりをし、楽しそうに笑い、時には怒ったような仕草を見せる。そのすべては、周囲が望むリアクションを計算して演じているだけの「空っぽの器」に過ぎません。
他者の痛みを理解できない彼にとって、人間の苦しみは「無意味な執着」に見えていました。この徹底したサイコパス的心理こそが、鬼殺隊を翻弄し、読者にも底知れぬ生理的恐怖を与えた童磨の狂気の本質です。