この場所を稀有な文化拠点へと昇華させた中心人物こそ、館長を務める小矢野信男氏である。小矢野氏は長年にわたり、失われつつある日本の伝統美術や生活道具の収集に情熱を注いできた。その情熱は単なる収集にとどまらず、衰退の危機に瀕していた歴史的建築の保存と活用へと向けられた。彼が私財を投じて屋敷を取得し、丁寧に修復を施したことで、現在のコヤノ美術館が誕生したのである。
小矢野氏の理念は明確だ。「美術品は飾られるためだけに存在するのではなく、それが生み出された空間や歴史的背景とともに呼吸してこそ真の輝きを放つ」。その哲学のもと、館内では展示品と建築意匠が調和する独自の展示スタイルが貫かれている。彼の情熱的な取り組みは、多くの文化人や地域住民の心を動かし続けている。