現地が静寂を守る一方で、インターネット空間では香山園をめぐる熱気球のような関心の高まりが見られる。きっかけは、Google マップの口コミ欄に投稿された写真や、熱心な古建築ファンによる探索レポートだった。「鶴川の住宅街に突如現れる別世界」「非公開なのが惜しすぎる庭園美」といった書き込みが次々と拡散し、好奇心を刺激されたユーザーの間で話題を呼んだ。
さらに拍車をかけたのが、YouTubeをはじめとする動画プラットフォームの存在だ。ドローンによる上空からの合法的な撮影映像や、過去の一般公開時のアーカイブ映像を再編集した歴史探訪動画が数万回規模で再生されている。映像クリエイターたちは、計算し尽くされた借景の美しさや、四季折々に表情を変える木々のグラデーションをシネマティックに切り取り、若い世代のフォロワーを惹きつけている。
現地を訪れることが叶わないからこそ、デジタル上で想像力を膨らませる。この現象は、文化財への関心が従来の高齢層からデジタルネイティブ世代へと劇的にシフトしている現実を浮き彫りにした。ネット上の熱狂は、保存再編計画を後押しする強い世論の追い風となっている。