かつて人類を震え上がらせた黒死病ですが、現代医学においてペストは早期発見できれば恐れるに足りない「治療可能な細菌感染症」へと変化しています。
ペスト菌に対しては、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、ドキシサイクリンなどの抗菌薬(抗生物質)が極めて高い効果を発揮します。発症から24時間以内に適切な投与を開始すれば、90%以上とされた致死率は約10%未満にまで劇的に低下します。現在でもマダガスカル、コンゴ民主共和国、ペルー、あるいはアメリカ合衆国西部の野生げっ歯類生息地域などで年間数百件規模の散発的な発生が報告されていますが、公衆衛生の確立と抗菌薬の普及により、世界的な大パンデミックに発展するリスクは極めて低く抑えられています。