原作者の吾峠呼世晴は、集英社が誇る少年漫画のフォーマットを借りながら、極めて重厚なダークファンタジーの人間ドラマを紡ぎ出した。勧善懲悪の単純な図式に終始せず、敵対する鬼側の「届かなかった願い」や「歪んでしまった情愛」を冷徹かつ慈悲深く描き切る作家性が、黒死牟というキャラクターにおいて頂点に達している。
神に選ばれなかった男の苦悩、才能という残酷な現実、そして永遠の命を得てもなお満たされない精神の飢餓。吾峠が描いたこの壮絶な兄弟の物語は、世代や国境を越えて読者の胸を打ち、普遍的な文学性すら帯びている。