2011年4月、田中好子さんの葬儀で流された肉声のテープを覚えているだろうか。病床で息も絶え絶えになりながら吹き込まれたそのメッセージは、日本中を涙に包んだ。東日本大震災の直後ということもあり、「被災された方々のために、私ができることをしたい」と語る彼女の言葉には、自己の死を前にしてもなお他人を思いやる無私の愛が満ちていた。
あのメッセージの録音を提案し、マイクを握らせたのは小達氏だった。彼は知っていたのだ。彼女がどれほどファンを愛し、社会に対して何かを届けたいと願っていたかを。2026年という混迷の時代において、あの震える声で語られた「愛の言葉」は、今こそ私たちに大切な何かを問いかけているように思えてならない。