美樹さやかの評価を決定的に覆し、ファンを熱狂させたのが『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』でした。テレビシリーズ最終話において、鹿目まどかが概念(アルティメットまどか)となったことで、魔法少女たちは絶望の果てに魔女化するのではなく、「円環の理」に導かれて魂を救済される法則へと書き換えられました。
『叛逆の物語』において、さやかは百江なぎさ(元・お菓子の魔女シャルロッテ)とともに、アルティメットまどかの記憶と力を守る「円環の理の秘書官・特使」という大役を任されて登場します。かつて自分を滅ぼした「人魚の魔女オクタヴィア」の絶望すらも自らの力の一部として完全に受け入れ、巨大な魔女の腕や車輪を従えて颯爽と戦う姿は、かつての痛々しい少女から見違えるほどの成長を遂げていました。
作中で彼女は、暁美ほむらが自らのソウルジェム内に築き上げた偽りの見滝原市へ潜入し、ほむらの異変をいち早く察知して鋭く牽制します。このとき見せた精神的な余裕とクールな佇まいは、ファンの間で「イケメンさやか」という愛称で親しまれることになりました。そして何より、再び巡り会えた杏子と背中を預け合って戦い、別れ際に「あんたを置いてっちゃったことだけが、心残りだったからさ」と告げるシーンは、テレビ版で断絶したふたりの魂に訪れた、これ以上ない温かな救済の結末でした。
しかし物語のラスト、ほむらがまどかを神の座から引きずり下ろし「悪魔」として世界を再構築したことで、さやかは記憶を奪われ、再び偽りの日常へと閉じ込められることになります。悪魔ほむらに対し「あんたは悪魔そのものよ!」と最後まで怒りを露わにしたさやかの存在こそが、次なる物語への決定的な火種となったのです。