絶頂期にあった一世風靡セピアは、1989年7月31日の日本武道館公演をもって活動に終止符を打ちました。多くの音楽グループが「方向性の違い」や「人間関係の悪化」「人気の低迷」を理由に解散する中、彼らの幕引きは極めて特異なものでした。
彼らは解散を「卒団」と呼びました。結成当初から「グループとしての寿命は長く続けない」「それぞれの道へ進むための通過点である」という暗黙の合意があり、全員が表現者として自立できる力をつけた段階で潔く散ることを選んだのです。ストリートから這い上がり、日本武道館という最高峰のステージを満員にして幕を引く引き際の鮮やかさは、まさに彼らが掲げた「男の美学」の完遂でした。
卒団後もメンバー同士の絆は途絶えることがありませんでした。しかし2026年1月、メンバーの西村香景さんが心不全のため61歳で急逝するという衝撃的な報せが届きます。突然の別れに、哀川翔さんや柳葉敏郎さん、小木茂光さんら残されたメンバーは言葉を失いながらも、かつて同じ釜の飯を食い、原宿の路上で汗を流した盟友を心から悼みました。悲しみを乗り越え、残されたメンバーは今も西村さんの思いを胸に活動を続けています。