「京都の料理=薄味で繊細な京料理」という固定観念を根底から覆すのが、京都ラーメンの歴史です。その最古の源流として君臨するのが、1938年に中国・浙江省出身の徐永福氏が京都駅前の屋台からスタートさせた新福菜館 本店(現在の「たかばし本店」)に他なりません。
運ばれてきた瞬間に目を奪われるのは、底が見えないほど真っ黒に澄んだスープです。初めて目にする観光客の多くは「醤油辛いのではないか」と身構えますが、レンゲでスープを口に運んだ瞬間にその先入観は心地よく裏切られます。ガツンとした塩分のかわりに押し寄せるのは、熟成された濃口生醤油の芳醇なアロマと、豚骨・鶏ガラからじっくり抽出されたクリアな旨味、そして豚肉由来の上品な甘みです。
この独自の味わいを生み出しているのが、創業以来受け継がれてきた秘伝の醤油ダレと丁寧なスープ抽出技術です。豚骨と鶏ガラを濁らせずに炊き上げた清湯(チンタン)スープに、加熱・熟成によってカドを取り除いた特製醤油ダレを合わせることで、濃厚な見た目からは想像もつかない「すっきりとしたキレと深い余韻」を両立させています。
合わせる麺は、京都の老舗製麺所「近藤製麺」が手がける中太ストレート麺。加水率を絶妙に抑えた麺が漆黒のスープを程よく吸い込み、噛むごとに小麦の甘みと醤油の風味が口いっぱいに広がります。丼を覆い尽くす薄切りの豚ウデ肉チャーシューは、脂っこさがなくしっとりとした肉質で、シャキシャキとした新鮮な京都産九条ネギの清涼感と見事な調和を形成しています。