経世済民とは?経済の語源に秘められた「世を治め民を救う」本質

経世済民とは?経済の語源に秘められた「世を治め民を救う」本質

経世済民とは?経済の語源に秘められた「世を治め民を救う」本質について知っておくべき ポイントを分かりやすく解説いたします。

経世済民の精神を近代資本主義の現場へ見事に架橋した先駆者が、「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一です。新一万円札の肖像としても知られる渋沢は、約500社もの企業育成に関わりながら、私利私欲のための蓄財を厳しく戒めました。

渋沢がその主著『論語と算盤』で生涯を通じて訴えたのは、「道徳(論語)」と「経済活動(算盤)」は対立するものではなく、不可分の一体であるという思想です。算盤だけを弾いて利益を追い求めれば社会は荒廃し、逆に道徳だけを説いて生産性を軽視すれば国家は貧困に喘ぎます。

「富を成す根源は仁義道徳にあり、正しい道理による富でなければ決して永続しない」という渋沢の洞察は、まさに経世済民の理念そのものです。自社さえ儲かれば他者はどうなってもよいとする近視眼的なビジネスモデルは、経世済民の系譜に立つ日本的経営哲学からは明確に否定されます。渋沢の視線の先には常に、「この事業は国家と民衆を本当に豊かにしているのか」という公益への問いかけがありました。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。