黒死牟という男の恐ろしさは、単に「鬼としての怪力や再生能力」を持っている点にはない。元々は鬼殺隊の開祖時代に活躍した始まりの呼吸の剣士であり、その卓越した剣技を維持したまま鬼へと変貌を遂げた点にある。彼が振るう刀は自らの肉体から生成された異形の刀身であり、そこから繰り出される「月の呼吸」は、不規則に変化する三日月状の刃を無数に周囲へ撒き散らす。予測不能な広範囲攻撃は、一瞬の油断も許さない。
さらに異彩を放つのが、顔面に並ぶ「六つの目」だ。これは相手の全身の筋肉の動きや血流、骨の動きまでを見透かす「透き通る世界」を常時把握するための器官であり、敵の攻撃動作を予兆段階で見切ることを可能にしている。武術の極致と鬼の不死性が融合したその戦闘力は、まさに鬼殺隊にとって最悪の障壁だった。