いま、近畿の沿岸地域では単なる「消費型の観光」からの脱却が進んでいる。地域経済を支えてきた水産業・海洋資源開発と、体験価値を重視する海洋観光産業が手を取り合い、持続可能なエコシステムが構築されつつあるのだ。
例えば、地元の漁師が自ら操舵する小舟で定置網漁を見学し、その場で獲れたての魚を味わう体験プログラム。あるいは、豊かな藻場を保全するための植樹やブルーカーボン事業への参加を組み込んだエコツーリズムなど、旅人が地域環境の担い手となる仕組みが広がる。
海を単に眺めて泳ぐ場所から、海の恵みと共生する文化を体感するフィールドへ。産業の現場と旅の現場が交差することで、地域の海はより深みのある魅力と生命力を獲得している。