君島憂樹の表現者としての土台は、名門・宝塚歌劇団での過酷な日々にあります。2016年に宝塚歌劇団へ入団し、月組に配属。「蘭世惠翔」として初舞台を踏んだ当初は、スラリとした手足を活かした男役として将来を嘱望されていました。
転機が訪れたのは2019年のことです。類まれな美貌と透明感のある高音の歌唱力を最大限に活かすため、娘役への転向を決断。宝塚の歴史のなかでも男役から娘役への転向は極めて稀であり、大きな覚悟を伴う選択でした。転向後は『エリザベート』の新人公演で難役・少年ルドルフを演じきるなど、演技の幅を一気に広げました。
そして2026年4月30日、『応天の門』/『Deep Sea -海神たちのカルナバル-』東京宝塚劇場公演の千秋楽をもって惜しまれつつ退団。ネット上では「親の意向か」「結婚準備か」といった憶測も流れましたが、当時のインタビューや本人の挨拶から窺える退団の本当の理由は極めて前向きなものでした。
「宝塚という夢の世界でやりきったという充実感」「ひとりの女性として外の世界で新しい表現に挑戦したいという探究心」が合致した結果の卒業であり、舞台人として完全燃焼した上でのネクストステージへの旅立ちだったことが分かります。