名優ジョニー・デップが演じたジャック・スパロウ船長は、従来の「悪名高き粗暴な海賊」というステレオタイプを完全に覆す、ユーモラスで予測不能な流儀を持つキャラクターだった。この唯一無二の英雄像を音楽面で支えたのが、チェロやヴァイオリンを中心とした迫真のオーケストラアンサンブルである。
流麗なストリングスの刻みと金管楽器の咆哮が交差し、旋律は刻一刻と変化する。スパロウ船長が港に漂着するコミカルなシーンから、壮絶な艦隊戦にいたるまで、楽曲は登場人物の心音とシンクロするように変化する。古典的な管弦楽法と電子音を融合させた音響アプローチは、映画音楽業界に新たなスタンダードを打ち立てた。