この唄が持つ独特の不気味さは、どこか整合性の取れない断片的な単語の連なりから生まれています。代表的な語句の言語的背景を検証してみましょう。
「かごめ」の解釈:竹で編まれた「籠目模様」を指すのが一般的ですが、古語では「屈む(かがむ)」の転訛、あるいは女性を取り囲む動作を示す言葉とも言われます。六角形の籠目模様は魔除けの紋様(ヘキサグラム)としても知られ、呪術的な意味合いを読み解く余地を残しています。
「鶴と亀が滑った」の謎:長寿と吉祥の象徴である「鶴と亀」が滑る(転ぶ)という表現は、縁起の良さが反転する不吉な出来事を想起させます。一説には「統治者が権力を失う瞬間」を風刺したもの、あるいは単に「夜が明けて朝が来る(つるつると滑るように時が過ぎる)」という時間の経過を擬音化したものなど、諸説が入り乱れています。
「後ろの正面だあれ」の空間的矛盾:前と後ろという相反する概念が同居するこの一節こそが、恐怖の核心です。鬼遊びにおいて「自分の真後ろに立っている人の顔を当てる」という単純なルールでありながら、言葉そのものが持つシュールレアリスムが、異界の存在を連想させる引き金となっています。