SNSや知恵袋などで頻繁に見られる誤解の一つに、「青春18きっぷを使えば、鹿児島本線だけで福岡から鹿児島まで格安で行ける」という言説があります。これは完全な誤りです。
先述した通り、八代〜川内間は第三セクター化されているため、JRの普通列車乗り放題券である「青春18きっぷ」は原則として利用できません。この区間をまたぐ場合、肥薩おれんじ鉄道の正規運賃(2,670円)を別途支払うか、「おれんじ18フリーきっぷ」(2,100円)などの専用企画乗車券を追加購入しなければ改札を出られなくなります。
また、「区間快速ならどの列車に乗っても同じ駅に止まる」という思い込みも危険です。「福間〜博多間快速」「博多〜二日市間快速」「赤間〜二日市間快速」など、時間帯や系統によって通過駅の範囲が細かく分断されています。駅構内の停車駅案内板を見誤ると、通過駅で降りられず手痛いタイムロスを被ることになります。
【プロの結論】鹿児島本線完走旅に向いている人・見送るべき人の特徴
鹿児島本線を乗り継いで縦断することに関して、専門的な視点から推奨できる利用者とそうでない利用者の境界線を明確に示します。
【この移動スタイルが向いている人】 沿線の車窓風景(八代海の海岸美や有明海沿いの干拓風景など)をのんびり味わいたい人や、肥薩おれんじ鉄道の沿線駅(水俣・出水・阿久根など)に立ち寄りグルメや温泉を楽しみたい旅行者には、これ以上ない充実したルートとなります。
【新幹線等の利用を強くおすすめする人】 ビジネスや冠婚葬祭など移動時間が限られている人、または長時間の座席移動に疲労を感じやすい人には全く推奨できません。博多〜鹿児島中央間は、新幹線であれば最速約1時間16分で結ばれますが、在来線と第三セクターを乗り継ぐと最低でも6時間半以上、乗り継ぎ待ちを含めると7〜8時間を要します。コストと体力の消耗を天秤にかければ、大半の一般利用者にとって新幹線の費用対効果が圧倒的に上回ります。