明晰夢の実践者が集うオンラインコミュニティや各種アンケート調査を分析すると、成功者が享受する大きなメリットと、失敗者が陥る心理的落とし穴の双方が浮き彫りになります。
ポジティブな体験談として最も多いのは、悪夢の克服と創造性の発揮です。慢性的な悪夢に悩まされていた被験者が「これは夢だ」と気づくことで、襲いかかる怪物を消し去ったり対話したりして恐怖体験をポジティブな結末に書き換える「イメージリハーサル療法(IRT)」の応用事例が報告されています。また、作曲家やデザイナー、アスリートが夢の中で作品のアイデアを試作したり、フォームのシミュレーションを行って成果を上げたという一次証言も少なくありません。
一方で、ネガティブな実態検証として見過ごせないのが「偽りの覚醒(フォールス・アウェイクニング)」のループです。夢の中で「起きて顔を洗った」と思ったらそれもまだ夢の中で、何重ものフェイクに閉じ込められる体験は、精神的に強い疲弊をもたらします。確固たる明晰夢の見分け方を持たないまま深入りすると、朝の目覚めに対する慢性的な不安感を抱える要因になり得ます。