童守小学校の理科室に長年設置されていた人体模型、通称「ジンタ」。その正体は、長年理科の授業で使われ続け、あちこちが破損して用済みとなり、ゴミとして捨てられようとしていた模型に無念の霊が宿った付喪神(つくもがみ)の一種です。
ジンタを凶行へと駆り立てたのは、「本物の生きた人間になりたい」という狂気にも似た強い執念でした。自分の身体を見下ろせば、半分はプラスチックと塗料でできた冷たい内臓の模型。どれほど精巧に作られていても、そこにはトクトクと血を通わせる本物の心臓が存在しません。
「自分に足りないのは温かい心臓だけだ。生きた人間の心臓を手に入れれば、自分も血の通った人間になれる」――そう思い詰めたジンタは、放課後の校舎に残っていた生徒たちを標的に定め、胸を切り裂いて生きた心臓を強奪しようと襲いかかりました。理科の教材として雑に扱われ、壊れたら廃棄されるだけの運命に対する激しい怨嗟と、生者への嫉妬がその根底にありました。