上越のラーメンを語る上で絶対に外せない隠し味が、大量に投入される玉ねぎとニンニクだ。丼の底から救い上げると、スープの熱でとろとろに煮込まれた玉ねぎが惜しげもなく姿を現す。これがスープに自然な甘みと深い奥行きを与える。
「冬場は外気温が氷点下に達する。体を芯から温めるには、動物性の脂だけでなく、ニンニクの刺激と野菜の持つ天然の糖分が必要だった」。地元で半世紀以上続く老舗の店主はそう振り返る。化学調味料に頼らず、素材の重なり合いで生み出される強烈なコク。一口ごとに体温が上がるような感覚は、過酷な気候条件が生み出した生活の知恵そのものと言える。