伝統的な組織秩序において、盃を交わした順序や長年の組織貢献(懲役歴や功績)が重んじられるなか、なぜ若年層が組織の舵取りを任されるに至ったのでしょうか。取材によって浮き彫りになったのは、現代の裏社会が抱える深刻な人材構造の歪みです。
第一の要因は、「血縁関係による世襲」と「経済力(シノギの才覚)」です。カリスマ的だった先代組長の実子や近親者が後継者として指名されるケースでは、20代〜30代の生い立ちであっても、周囲の後見人やベテラン幹部が補佐する形で襲名が行われます。また、デジタル空間での資金獲得やグレーゾーンビジネスに長けた若手が、経済的困窮にあえぐ組織を支えるために抜擢される構造も見受けられます。
第二の要因は、幹部クラスの一斉検挙や服役に伴う「世代交代の強制執行」です。長刑期を科されたベテランが不在となるなか、組織の看板を維持するために若手が矢面に立たされる構図が存在します。関係者の証言によると、「若くして組長を継ぐことは名誉というよりも、厳罰化時代の矢面に立つリスクを背負わされた側面が強い」という冷徹な実態が語られています。