Q1:社会的割引率と民間割引率の決定的な違いは何ですか?
A1:民間割引率は企業が投資資金を調達するコスト(借入金利や株主資本コスト)を基準とし、利益の最大化と倒産リスクの回避を目的に5〜10%程度と高めに設定されます。一方、社会的割引率は国や自治体が社会全体の幸福や持続可能性を評価する基準であり、利益ではなく「社会的な便益」や「将来世代との衡平性」を重視するため、民間より低く設定されるのが通例です。
Q2:なぜ日本の社会的割引率は長年「4%」から下げるのが難しかったのですか?
A2:2004年の策定当時、無駄な公共事業の乱発を防ぎ財政赤字を抑え込むための「防波堤」として機能していたためです。数値を下げると費用便益分析のハードルが下がり、採算性の低いハコモノや道路建設などのバラマキ投資が復活するのではないかという財政当局の強い懸念が、20年以上にわたる見送りの要因となっていました。
Q3:社会的割引率が引き下げられると、一般国民の生活にはどんな影響がありますか?
A3:長期的には大きなメリットとリスクの双方が生じます。メリットとしては、堤防強化や老朽橋梁の補修といった「将来の命を守る防災投資」や、送電網整備などの「脱炭素インフラ」に国の予算がつきやすくなり、将来世代の災害リスクや気候危機が低減されます。一方で、不採算な公共事業に税金が無駄遣いされるリスクも高まるため、事業の厳格な情報公開と監視がより強く求められます。