神田沙也加さんが歩んできた舞台歴を振り返ると、そこには常に「実力で道を切り拓く」という強い覚悟がありました。2000年代初頭から舞台への情熱を燃やし、数々のオーディションに挑み続けた彼女は、『赤毛のアン』『レ・ミゼラブル』『ピーターパン』『キューティ・ブロンド』など多彩な作品で着実にキャリアを重ねました。
なかでも、日本のミュージカルの殿堂である帝国劇場で長年上演されてきた金字塔『マイ・フェア・レディ』のイライザ役への抜擢は、彼女の演劇人生における大きな転機となります。かつて大地真央さんが20年にわたって演じ継いできた大役のバトンを受け取ることは、計り知れない重圧を伴うものでした。
しかし、2018年の初演で見せた神田さんのイライザは、プレッシャーを歓喜へと変える圧巻の仕上がりでした。歴代キャストへの敬意を払いながらも、彼女にしか出せない可憐さと芯の強さを吹き込み、名実ともに「神田沙也加の代表作」としての評価を確固たるものにしました。