宇治の小高い丘に位置する「奥ノ山茶園」。足利将軍家が認めた宇治七名園のうち、他の六園が都市化や時代の波に飲まれて消滅する中、奇跡的にこの地にだけ残り続けた。幾世代もの茶師たちの手が、土を耕し、枝を剪定し、幾度もの歴史的危機を乗り越えてこの地を守り抜いてきたのだ。
春の摘み取り時期を迎えると、奥ノ山は独特の静寂と静かな熱気に包まれる。ここで収穫される茶葉は、単なる農産物ではない。数百年分の土地の記憶と人の技が凝縮された工芸品だ。土壌のミネラルと独特の微気候が交差するこの場所でしか生まれ得ない、深く複雑なアロマはまさに唯一無二と言える。