胴体を真っ二つに断ち切られるという衝撃的な死を迎えた無一郎だが、その真の感動は精神世界での兄・有一郎との対話に集約されている。「こんなところで死ぬな」「お前を死なせるために俺は生きてたんじゃない」と涙を流して激昂する兄に対し、無一郎は穏やかな笑顔で応えた。
「僕は幸せになるために生まれてきたんだよ」——この一言が持つ重量感は計り知れない。かつて双子の兄を鬼に殺され、絶望と記憶障害の中で孤独に戦い続けてきた少年が、自分の人生は決して不幸でも無駄でもなかったと自ら肯定した瞬間だった。仲間を守り、未来へ命を繋いだことに対する誇り。最期の瞬間に見せた彼の表情は、苦痛を超越した純粋な幸福感に満ちていた。