「手洗い用の食器用洗剤が余っているから、少量なら食洗機に入れても大丈夫だろう」という判断は、機器の致命的な故障を招く最も危険な行為です。日本石鹸洗剤工業会や大手家電メーカーの修理窓口が再三にわたり警告を発している通り、食洗機普通の洗剤使えない理由には明確な流体力学上の根拠が存在します。
手洗い用の食器用洗剤には、スポンジで泡を立てて摩擦で洗うために高濃度の起泡性界面活性剤(15〜40%程度)が含まれています。一方、食洗機専用洗剤は強力なノズル噴射圧と温水循環を利用して汚れを吹き飛ばす設計のため、泡立ちを極限まで抑える「非イオン系界面活性剤」やアルカリ助剤が使用されています。
もし手洗い用洗剤をわずか数滴でも投入すると、機内が高圧水流によって数分で密密な泡で充満します。その結果、以下のような連鎖トラブルが発生します。
1つ目は洗浄ポンプのキャビテーション(空回り)です。水流に泡が混入することで水圧が著しく低下し、ノズルが回転しなくなって食器がまったく洗えなくなります。2つ目は安全装置の作動と機外漏水です。膨張した泡が通気口やパッキンの隙間から庫外へ溢れ出し、本体底部の漏水受皿に溜まることで、漏水検知センサー(パナソニック製で言えばエラーコード「H21」など)が作動して強制停止します。
最悪の場合、内部の電子制御基板やモーターに泡水が浸入してショートを引き起こし、出張修理費用として1万5,000円〜3万5,000円前後の思わぬ出費を強いられることになります。誤投入してしまった場合は、運転を直ちに停止し、泡が消えるまで何度もぬるま湯を手動で汲み出して拭き取るなど、極めて骨の折れる復旧作業が必要です。