Q1:なぜシュウ酸の電離式を「$(\text{COOH})_2 \rightarrow 2\text{H}^+ + (\text{COO}^-)_2$」と1行でまとめて書いてはいけないのですか?
A1:2価の酸が水中で電離する際、2つのプロトンが同時に脱離する現象は確率的・物理化学的に起こり得ず、必ず1つずつ段階的に電離するためです。また、シュウ酸は完全電離する強酸ではないため不可逆矢印「$\rightarrow$」を用いることも科学的に誤りとなります。入試採点基準でも段階を分けない記述は原則として不正解扱いになります。
Q2:記述試験で平衡矢印「$\rightleftarrows$」の代わりに一本矢印「$\rightarrow$」を書いてしまった場合、部分点は期待できますか?
A2:大学や採点官の方針によりますが、旧帝国大学をはじめとする難関大では「電離平衡の根本的な本質を理解していない」と見なされ、該当箇所の配点がすべてゼロになるケースが大半です。中和反応式との区別を明確にするためにも、弱酸・弱塩基の電離式では必ず可逆矢印を正確に引く意識を徹底してください。
Q3:中和滴定の実験において、なぜシュウ酸は「二水和物」の結晶として用いられるのですか?純物質ではダメなのでしょうか?
A3:無水物のシュウ酸は空気中の湿気を非常に吸いやすく(吸湿性)、正確に質量を秤量することが困難だからです。二水和物($(\text{COOH})_2\cdot 2\text{H}_2\text{O}$)の結晶は空気中で風解も潮解も起こさず極めて安定しているため、質量を精密に測定して既知濃度の標準溶液を調製する一次標準物質として最適とされています。