日本の民俗学の基礎を築いた巨頭・折口信夫は、祭りの核心を「マレビト(稀人)」の来訪という概念で説明した。異界から決まった時期に訪れ、人々に祝福と生命力をもたらす聖なる存在――それこそがマレビトである。
普段は社殿の奥深くに鎮座する神々が、年に一度、人間たちの暮らす街へと繰り出す乗り物が神輿だ。神輿を荒々しく揺らし、担ぎ上げる行為は、単なるパフォーマンスではない。神の霊力を激しく振動させて活性化させ、土地や人々に新鮮な気を与える呪術的な仕掛けであった。私たちが祭りで感じる胸の高鳴りは、神聖なエネルギーの渦に巻き込まれている動かぬ証拠と言えよう。